「クラウドファンディングで資金調達したけど、確定申告は必要?」
「クラウドファンディングで支援した場合、経費で落とせる?」
「クラウドファンディングの会計処理の仕方を知りたい!」
近年、クラウドファンディングを利用する人が増えています。そんななかで、クラウドファンディングにまつわる確定申告や会計処理についてお悩みの方も多いのではないでしょうか。
クラウドファンディングの確定申告は「クラウドファンディングの種類」や「個人か法人か」などによって、税金の種類や確定申告の必要性が異なります。
- クラウドファンディングと確定申告についての予備知識
- 購入型クラウドファンディングに関係する税金について
- 資金を受け取る側は原則確定申告が必要
- 資金を提供する側は原則確定申告が不要
- 確定申告の流れ
- 個人事業主が購入型クラウドファンディングを利用した場合の会計処理
- 確定申告における3つの注意点
本記事を読めば、購入型クラウドファンディングに関する税金の知識が身に付き、確定申告が必要かどうか理解できます。
購入型クラウドファンディングを利用したことがある方は、ぜひ参考にしてみてください。
なお、税金に関しては例外が多く適用条件も細かく設けられているため、詳細は金融庁のサイトを確認するか税理士にお問い合わせください。
クラウドファンディングに挑戦
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クラウドファンディングと確定申告についての予備知識
クラウドファンディングの確定申告について理解するために、まずは基礎知識を身に付けておきましょう。ここでは、以下3つの項目について解説します。
- 確定申告とは
- 税金と所得に関する基礎知識
- クラウドファンディングの種類
それでは順番にみていきましょう。
確定申告とは
確定申告とは、1年間の売上や経費、所得金額などから税額を計算して、税務署に報告する手続きのことをいいます。
まず、税金のあらましについておさらいしておきましょう。そもそも、私たちが納めている税金は以下の2種類に大別できます。
- 賦課課税方式:国や自治体が税額を計算する(固定資産税・自動車税など)
- 申告納税方式:納税者が税額を計算する(法人税・所得税・住民税など)
固定資産税や自動車税などは国や自治体が税額を計算してくれるため、確定申告をする必要はありません。一方、法人税や所得税は自身で税額を計算する必要があるため確定申告をおこないます。
購入型クラウドファンディングで収入を得た場合は、個人なら所得税、法人なら法人税の対象になるため、原則確定申告が必要になるのです。
ところで、会社員の場合は「確定申告をしたことがない」という方も多いでしょう。
「給与収入が2,000万円以下」かつ「収入が本業のみ」の会社員は、勤め先が代理で税金の計算をしてくれるので、原則確定申告をする必要がありません。
そのほか、収入が一定金額以内の場合も確定申告は不要です。
税金と所得に関する基礎知識
次に、クラウドファンディングに関係する税金や所得について押さえておきましょう。購入型クラウドファンディングの説明で、よく出てくる税金の種類は以下の5つです。
- 所得税:個人の所得にかかる税金
- 法人税:法人の企業活動で得られる所得にかかる税金
- 贈与税:個人から個人に贈与した財産にかかる税金
- 住民税:行政サービスの費用を分担する目的で、その地域の個人や法人が負担する税金
- 消費税:モノやサービスを購入する際にかかる税金
所得税を計算する際は、所得の種類によって計算方法が異なります。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことをいいます。
所得の種類は全部で10種類ありますが、購入型クラウドファンディングに関係する所得は、以下の2つです。
- 事業所得:事業を営んでいる人のメイン事業から生じる所得
- 雑所得:会社員が副業で得た所得・公的年金などにかかる所得など
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングの確定申告は、クラウドファンディングの種類によって対応の仕方が異なります。クラウドファンディングの種類は、大きく以下の3つに分けられます。
- 購入型:モノやサービスの見返りがある
- 寄付型:見返りがない(被災地支援など)
- 投資型:金銭的な見返りを期待できる
このなかで、最もポピュラーなのは購入型です。資金を提供する側にとって購入型は、ネットショッピングに近い感覚で手軽に利用できます。
また、資金を受け取る側からすると、購入型はマーケティングとしても活用できるメリットがあります。
この記事では、クラウドファンディングのなかでも多くの方々に利用されている購入型について解説していきます。
なお、クラウドファンディングの種類や仕組みについては関連記事にてくわしく説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
購入型クラウドファンディングの確定申告|税金について解説
購入型クラウドファンディングを利用すると、どのような税金がかかるのでしょうか。
ここでは、資金を受け取る側である「クラウドファンディング実行者」の場合と、資金を提供する側である「支援者」の場合に分けて解説していきます。
資金を受け取る側(実行者)の場合
プロジェクトの発起人である資金調達者は、商品やサービスの販売と同じく収入を得る立場なので、原則納税の義務が発生します。
プロジェクト発起人が個人の場合は所得税の対象、法人の場合は法人税の対象になります。
資金を出した人 | 資金を受け取った人 | 【購入型】資金調達した場合の税金 |
個人・法人 | 個人 | 所得税の対象 |
個人・法人 | 法人 | 法人税の対象 |
まれですが、リターンの内容に比べて出資額が高額な場合は寄付扱いになり、贈与税の対象になるケースもあるので注意しましょう。
また、プロジェクトに必要な支出(サイト手数料、リターンの送料など)があれば、経費として計上できます。
そのほか、会計処理は売上として計上するため、通常の売買と同じように消費税の対象になる点にもご注意ください。
資金を提供する側(支援者)の場合
プロジェクトに賛同して支援する場合、通常の買い物と同じように考えればわかりやすいでしょう。資金を出す側は所得税や法人税の納税義務は発生せず、消費税がかかるだけです。
つまり、資金を提供する側の場合、確定申告は原則必要ありません。
法人や個人事業主は、リターンが事業に必要なものであれば経費として処理できる点だけ、押さえておきましょう。
【資金を受け取る側】クラウドファンディングで収入を得たら原則確定申告が必要
クラウドファンディングで収入を得たら、基本的には確定申告が必要です。しかし、確定申告をしなくてもよい場合もあるので、ここではその主なケースを紹介します。
- 所得が48万円以下の専業主婦・学生・フリーランスなど
- 副収入の合計が20万円未満の給与所得者
それぞれくわしくみていきましょう。
【例外】所得が48万円以下の専業主婦(夫)・学生・フリーランスは確定申告が不要
1年間の所得合計(クラウドファンディング以外の所得も含む)が48万円以下の専業主婦(夫)や学生、フリーランスは、原則確定申告が不要です。
確定申告では税負担を軽くするためのさまざまな控除があり、そのうちの1つである基礎控除の控除額が48万円だからです。
基礎控除とは、生活に最低限必要なお金を非課税にする目的の控除で、合計所得金額に応じて段階的に控除額が設定されています。
合計所得金額が2,400万円以下の場合、基礎控除額は48万円です。そのため、所得が48万円以下の場合は基礎控除額を差し引くとゼロになり、所得税が発生しないので確定申告が原則不要になります。
【例外】副収入の合計が20万円以下の給与所得者は確定申告が不要
会社員(パート・アルバイトを含む)で以下の条件がすべて当てはまる方は、原則確定申告をする必要がありません。
- 副収入の所得合計(クラウドファンディング以外の所得も含む)が20万円以下
- 本業の年収が2,000万円以下で年末調整をしている
- 医療費控除や住宅ローン控除などを受けない
- 副収入が源泉徴収の対象でない
上記に当てはまっていても確定申告をしなくてはならないケースがあるので、詳細はこちらでご確認ください。
【資金を提供する側】クラウドファンディングで確定申告は不要
確定申告は基本的に「収入があった場合」におこなうものなので、クラウドファンディングの支援者は原則確定申告をする必要がありません。
クラウドファンディングをした人は要チェック!確定申告の流れ
初めて確定申告をする方は、まず確定申告の流れを理解しておきましょう。確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の申告を、翌年2月16日から3月15日の間におこないます。
それでは順番にみていきましょう。
STEP1:青色申告か白色申告かを決める
確定申告には青色申告と白色申告の2種類あるため、まずはどちらにするか決めなければなりません。
青色申告は特別控除が最大65万円受けられるメリットがありますが、記帳のやり方が白色申告に比べてやや複雑になります。
(吹き出し)
ただし、青色申告を選択する場合はあらかじめ管轄の税務署に青色申告承認申請書を提出しておく必要があります。
手続きができていないと青色申告を利用できないので注意しましょう。
STEP2:必要書類の準備
確定申告は、申告内容によって添付書類が異なります。以下は、クラウドファンディングで得た収入を申告する場合の必要書類の一例です。
- マイナンバーカード
- 所得がわかる書類(収入と経費を証明できる書類)
- 控除額がわかる書類(医療費控除・住宅ローン控除、寄付金控除など)
- 銀行の口座番号(還付を受ける場合)
必要書類は個々の条件によって異なるため、あらかじめ調べて準備しておきましょう。
STEP3:申告書の作成・提出
申告書を作成するには、以下4つの方法があります。
- 確定申告用のソフトで作成
- 国税庁のWebサイト「確定申告書作成コーナー」で作成
- 手書きで作成
- 税理士に依頼
STEP4:納税または還付
確定申告が終わったら、納税額もしくは還付額が決定します。納税する場合は、期限までに速やかに手続きを済ませましょう。
還付金がある場合は、申告後1~2ヵ月すると連絡が来て口座に入金されます。
【個人事業主向け】クラウドファンディングで確定申告!会計処理での書き方
クラウドファンディングに関する会計処理の仕方は、初めてだと戸惑うことが多いかもしれません。
ここでは個人事業主が購入型クラウドファンディングを利用した場合、資金を受け取る側と、資金を提供する側に分けて解説します。
資金を受け取る側(実行者)の場合
クラウドファンディングの代金は先払いになるので、資金受取時には前受金(負債)として処理します。
【資金を受け取ったとき】
借方 | 貸方 |
現預金 | 前受金 |
その後、商品やサービスを提供したタイミングで売上高(収益)に振り替えます。
【商品やサービスを提供したとき】
借方 | 貸方 |
前受金 | 売上高 |
消費税課税事業者の場合は、課税売上に該当するため消費税が課税されます。消費税は通常どおりに会計処理をすれば問題ありません。
また、サイト手数料やリターン発送費用などプロジェクトに関連する費用は経費として計上できます。
資金を提供する側(支援者)の場合
個人事業主の方がクラウドファンディングで支援する場合、リターンが事業に直接関係あれば経費に算入できます。具体的には、代金を先払いするので資金提供時に前払金(流動資産)として処理します。
【資金を提供したとき】
借方 | 貸方 |
前払金 | 現預金 |
その後、商品を受け取ったタイミングで仕入(費用)に振り替えます。
【商品を受け取ったとき】
借方 | 貸方 |
仕入 | 前払金 |
経費として処理する場合、金額によっては減価償却資産として処理する必要があるので注意しましょう。
クラウドファンディングにおける確定申告の3つの注意点
クラウドファンディングを利用した人が、失敗しやすいポイントを3つ紹介します。
- 住民税の申告が必要なケースがある
- 経費書類は7年間保存する
- 確定申告を忘れた場合は気づいた時点でおこなう
あとで後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。
住民税の申告が必要なケースがある
確定申告は所得税についての手続きですが、それとは別に「住民税申告」が必要なケースもあります。代表的な例は「収入があったものの確定申告は不要だった」という方です。
副収入の所得合計が20万円以下の会社員や、所得が48万円以下の専業主婦(学生・フリーランス)などがこのケースに該当します。
ちなみに、確定申告や年末調整によって所得税の計算が済んでいる方は、税務署と役所が連携して手続きをしてくれるため住民税申告は不要です。
経費書類は7年間保存する
かかった費用を経費として会計処理した場合、領収書の保存期間は原則7年間(白色申告の場合は5年間)と定められています。
万が一税務調査が入った場合、経費書類がないと追徴課税を求められるケースもあります。経費書類は会計帳簿を参照できるように処理をして、1年分ずつまとめて保管しておきましょう。
確定申告を忘れた場合は気づいた時点でおこなう
万が一確定申告を忘れていた場合は、気づいた時点でなるべく早く申告しましょう。
期限に遅れるとペナルティの対象になりますが、自主的に申告すればペナルティを最小限に抑えられることもあります。
「バレなければ大丈夫かな?」と放置していると刑事罰に処される可能性もあるので、気づいたらすぐに対処しましょう。
「クラウドファンディングで確定申告は必要?」のまとめ
クラウドファンディングにかかわった場合、確定申告の必要性やかかる税金の種類は「クラウドファンディングの種類」や「個人か法人か」によって異なります。
確定申告が必要かどうか、最終的にはさまざまな視点から総合的に判断する必要があります。
自分で調べてもわからない場合は、管轄の税務署や国税庁電話相談センターに問い合わせるか、税理士に相談しましょう。
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